「美味しいところ」で打ちまくれ高原
【金子達仁】2006年12月07日

 赤い悪魔を一発で葬った中村俊輔に続き、またまた快挙である。どうせだったらそれを6月にやってくれよ……といいたいところもあるのだが、なにはともあれ、高原のハットトリックに拍手を送りたい。

 もっとも、個人的には今回のハットトリック、さほど驚いてはいない。得点を狙えそうなポジション、いわゆる「美味(お い)しいところ」を他の選手に押さえられてしまい、難易度の高いシュートばかりを求められていたハンブルク時代と違い、フランクフルトでの高原は「美味しいところ」に入る優先権利を持っているからである。

 MFにとってのハットトリックは、ある意味宝くじに当たったようなものである。本人も周囲も、今回当たったからといって次回も、とは考えない。だが、FWにとって、ストライカーにとってのハットトリックは違う。まして、弱小相手ではなく、敵地で達成したハットトリックとなると、意味合いはさらに違ってくる。今後、高原はさらに「美味しいところ」を好きに使えるようになるだろうし、周囲も率先して高原にラストパスを合わせてくる。最低でも10ゴール。うまくいけば15ゴールぐらいを今季の高原は叩き出すかもしれない。

 ただ、そのために必要となってくるのが、シュート数の増加である。今回の高原は、4本のシュートを3点に結びつけた。素晴らしい決定率ではあるが、本来、ハットトリックを達成するような選手はもっと多くのシュートを放っているのが普通である。

 Jリーグのデータをみてもはっきりわかるように、日本人ストライカーが1試合に放つシュート数の平均は、外国人選手のものより明らかに少ない。なぜか。日本人ストライカーは、シュートを打つ状況の理想が外国人選手よりも高いからである。

 ボールが足元に入りすぎる。タイミングが少しズレた。そんなとき、日本人ストライカーは万全の態勢に持ち替えようとする。見た目は悪くても強引にシュートを放ってしまう外国人選手との、決定的な違いがそこにある。

 素晴らしいシュートを打てる選手は、同じぐらい、不格好なシュートを打たなければならない。打たなければ、一流のストライカーたりえることはできない。いわゆる「リトル・ゴール」をどれだけ稼げるか。高原のみならず、日本人ストライカーの未来はそこにかかっている。(スポーツライター)

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